1. ホーム
  2. 御堂筋note

御堂筋note magazine

Vol. 5

経営者としての心構え

(1) 経営とはバランスをとること

経営は、不確実で不安定な流通環境の中で自己責任において業績をあげていかねばなりません。そのために経営者に求められる姿勢とは、一言で言うと、バランスをとるということです。 短期と長期、成長と安定、利益と資金、販売と内部管理、人情と合理、社員の間、等々企業の永続に必要なさまざまな要素のバランスをとることです。バランスをとっていくためには、自社の現在のバランス状態を自らが把握して判断ができなければなりません。この情報は財務資料、特にB/Sから入手することができます。それゆえ、経営者はB/S(バランスシート=貸借対照表)が読めなければなりません。このように、経営者は特殊な専門職です。専門職であるがゆえに専門知識が必要です。幸い、専門知識は勉強すれば誰でも手に入れられるものです。従って、経営者は勉強し続けなければなりません。自分で経営実務を体験し、悩み、そして本を読み、良き手本の会社を見学し経営に適用してみるのです。大変ですが、やりがいのある仕事です。 是非チャレンジして下さい。

(2) 経営体制整備の手順

今から、経営のしくみを整備していこうとされる方々のために、経営体制の整備手順についてお話していきましょう。とても簡単に書いているようですが、この流れ自体一朝一夕にできるような代物ではありません。時間のかかることですから、計画的に日程を立ててすすめていただきたいものです。

ⅰ.重要なお得意先の話を聴きにいく

我社の上得意先の願い、期待、ニーズを素直にお聞きし、それをしっかりと受け止めるのです。お客様は必ず喜んで話をして下さいます。勇気を持って聞きに行って下さい。

ⅱ.わが社の強みの把握

我社の強みを30個書き出します。なぜ30かといえば、それだけ書き出すには大変に苦労するからです。その内に、弱みと思っていたものが、強みと思えて来ます。自分に備わったものは強みと考える他ないのです。そして、強みをさらに強くする方法を社員と一緒になって考えて行きます。

ⅲ.市場戦略、商品・サービス戦略の方向性決定

ⅰとⅱから我社のお客様に向けて戦略を立てていきます。他の会社とどう差別化したサービスを提供するか、どんな顧客開発をしていくかをしっかりと計画し、行動の計画にまで具体化します。

ⅳ.顧客訪問による実態の把握

会社にこもりっきりで顧客の情報から目をそらしている経営者を「穴熊社長」といいます。「穴熊社長」は会社を潰します。「穴熊社長」とならないように、自分の目で主要な得意先、見込み客を隈なく回り、顧客のニーズをしっかり受け止めることを習慣化するのです。

ⅴ.内部管理システムの確立

利益とは「ざるですくう水」のようなものです。コンピューターに表示される粗利益は「つもり」の粗利益です。売掛金を回収し、クレームや返品の損を被り、在庫のゴミを吐き出して手元に残る利益が粗利益なのです。生半可なことでは利益は出ないと心得ることです。在庫が溜まってゴミになり、販売代金は踏み倒される。これらを必死に予防しなければ利益は出ません。内部管理のための行動基準を確立し、これを社内外に徹底していくのです。その場合最も大事なことは、経営者の内部管理に対する価値観の確立です。

ⅵ.業績管理体制の確立

月次決算資料は経営者にとっての通信簿です。できるだけ早く、正確な月次決算資料を作成できる体制を構築しなければなりません。勘定科目処理基準を整備し翌月10日(本当は5日)以内に月次決算を完了させるのです。そして経営の異常点を監視できるように売掛金回収、在庫、売上、粗利、経費等の細分化資料を整備して経営会議でチェックして行くのです。

ⅶ.コミュニケーション・システムの整備

経営の異常点、問題点を明らかにし、社員をOJTしていきつつ、問題解決を図っていくためのコミュニケーションのシステムを整備していきます。未来の利益管理(流通業の場合には受注残営業)を推進して行くための会議、経営会議、朝礼、ミーティング、個人面接を有機的につなげ、それぞれの目的、期日、メンバーを明らかにして定期的に開催していくのです。

ⅷ.経営改善の管理サイクルの実働

経営の問題点を掴み、経営改善を進めていくために、改善の実現を保証する管理サイクルを確立し、回していかなければなりません。コミュニケーション・システムを通じて問題点を共有し、実行分担を決め、全員で進捗状況を管理していくようにします。そして幹部メンバーのコミットメント(自分の問題として本気でやる気になること)を創り出していくのです。

ⅸ.経営計画を作成する

物事の成否とその実行の効率性は80%計画の良し悪しで決まります。このため毎年経営計画をきちんと作成し、これにしたがって全員で経営課題に取り組み、その進捗状況を管理します。経営計画は経営遂行の背骨ですから、納得のいくまで十分に時間をかけて、経営者が魂を込めたものに仕上げなければなりません、もちろん、人間の開発・育成の思いを背景にしっかりもちながら。

自社で試した実戦向きのツールや
資料を無料でご提供中

資料ダウンロードはこちらから

今日のまとめ

経営とは、顧客を創り出し、商品とサービスを創り出すことであり、そのために顧客ニーズを徹底理解し、それを満たす開発・革新をしていきます。さらに、それを効率的に提供することが課題です。そのためには、営業・開発・管理への全力投球とバランス感覚が大事です。

最近の記事

おすすめコンテンツ

  • [信頼性を証明する業界ごと事例集]ケーススタディ
  • [自社で試したツール・資料をご提供]資料ダウンロード