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御堂筋note magazine

Vol. 6

経営管理の要諦

経営者の経営の心構えには、多くのことがあるでしょう。人によっても話す論点がちがうこともあるでしょう。次の掲げるものは、私がある流通業のトップの方に依頼されて、これから経営にあたる後継者のために、私から見た経営の要諦をまとめたものの内容です。主として、経営管理、特に内部の管理について述べています。参考にしてください。

ⅰ.中小企業の社長はチェックマンであれ

中小企業では、経営者以外は誰もチェックをしないので、経営者がチェックマンとして確実に機能しなければなりません。

ⅱ.内部管理の仕組みを確立することが重要である

経営者は意識して管理のしくみを作り、それにより管理をしていくこと。また自分が管理を苦手とするのであれば、しっかりした補完者をつくること。

ⅲ.粗利が売上高より大事である

正常販売を実現させること。正常販売とは粗利益が資金回収として実現する販売のことです。そのために仕入→在庫→販売→回収の流れの中でロス、ミスを撲滅していかなければなりません。

ⅳ.正常販売の実現にむけて

粗利を資金として自己実現させるために、次の3つのことをしっかりしていくことが大事です。
01. 異常(在庫増大、粗利不足、返品、未回収)が発生するメカニズムを解明する。
02. 異常の発生を予防するチェックシステムをつくる。
03. 必ず守るべきルールは何かを心の中に確立し、全社員にルールを守らせる。

ⅴ.我社の内と外で何が起こっているのかという情報を、自分で収集する

誰も経営者の耳に痛いことは言いません。自ら得意先や社員の意見を素直に聞き、裸の王様にならないように心して意識し行動することです。

ⅵ.教育は、社長の本来業務である

社員を教育して行くためのコミュニケーション・システムをきちんと作ること。教育は、社長の考えていることの意味を理解させ、確実に実行させるようにすることを目的として行ないます。コミュニケーション・システムは、このような教育が空回りしないための情報の伝達と相互交換の仕組みのことです。

ⅶ.コミュニケーションの時間は優先的に確保して行かなければならない

社長は各メンバーに仕事、責任、権限を割り当て、各メンバーを通じて目標を達成させることを役割としています。このため、社員と適時に適切にコミュニケートすることは、会社全体の生産性を高めていくために大変重要です。よって、自分の時間を優先的に割り振ること。

ⅷ.月次決算の追求に執念を燃やせ

月次決算と業績指標は自分の経営の通信簿です。そのため、事実がわかり、問題解決の手が打てるような細分化された資料を求め、日々あくなき改善が必要です。

ⅸ.人間について勉強をしなければならない

人は何によって動いているのか、人間心理、性格の形成、リーダーシップ等々、どうすれば会社の業績達成に貢献させることができるのかを探求していかなければなりません。

x.意識して各社員から距離を保つ

決して安易に、特定の人間と親密に振る舞ってはいけません。意識して距離を保ち、各社員に対する自分の印象や評価を語ってはなりません。

xⅰ.人事については時間をかけて結論を出す

人間に対しては、誠実でなければなりません。人間は簡単に処置を決められるような軽い存在ではありません。また、それを決める方も、揺れ動く考えの持ち主です。だから、一時の感情で乱暴な意思決定をしてはなりません。思いが確信になったそのときに、決断をするのです。しかしいったん決断をしたら、電光石火のごとく行動してください。

xⅱ.絶対に守るべき基準は何か、という価値観を心の中に確立しなければならない

圧倒的な業績、成果、風土、体質は、基準やルールの絶対厳守とその継続によってもたらされることを銘記し、経営者がその確立の精神的支柱として機能しなければなりません。

xⅲ.業績改善の分析の道具を使う

経営を分析し改善していく上での、ものの見方・考え方を身につけること。(1) 細分化、(2) 推移、トレンド、(3) 目標、前年、標準、他社との比較、(4) ABC分析→重要性の原則(80:20の原則)、(5) 生産性(Input/Output分析)

xⅳ.先行管理の体制をつくること

管理には、過去管理、直後管理、未来管理があり、未来管理だけが実効性のある管理です。先行管理とは未来管理であり、先行管理の体制があって、初めて販売を計画通り実現させて行くための的確な指揮ができるのです。
事後管理;月次の売上実績把握→直後管理;瞬時売上把握→リアルタイム管理;販売承認、
手配表管理→先行管理;受注残管理のための、邸別受注作戦の検討討議;件名収支管理、引合残管理

xⅴ.日々必ず予防的にチェックすべき事項

中小企業では、経営者以外は誰もチェックをしないので、経営者がチェックマンとして確実に機能しなければなりません。
(1) 営業日報による営業情報、顧客情報
(2) 日々の現預金残高管理日報、仕訳伝票(+領収書、請求書)
(3) 回収報告書、回収違算報告(リアルタイムで)
(4) 注文毎の所定粗利率が確保されているか
(5) 与信限度の超過、新規取引承認

xⅵ.顧客、市場との関係や組織についてのデザインをする

企業は、得意先、仕入先、従業員、銀行、国家公共機関、株主の6種の利害関係者との間で生かされています。利害関係者は各々誘因があって貢献を行ないます。市場と利害関係者の中で企業が成長発展していくためには、しっかりとした取引構造や組織構造をデザインしておかなければなりません。このために経営理念と経営計画が必要なのです。経営計画を日々の反省に基づき、十分に時間をかけて策定していかなければなりません。

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今日のまとめ

経営の行動指針は、相互に一見して相矛盾するものかもしれませんが、経営者はそれらを統合しながら経営をしていくのです。

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