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御堂筋note magazine

Vol. 17

新しい製品とサービスの開発

新製品、新サービス開発の必要性

加速する市場経済の世の中では、益々過激な競争社会と化し、ユーザーの利便性を求め飽きることの無い製品・サービスの開発・改良の競争が加速していきます。メーカーでは新製品の売上比率が、毎年30%以上でなければならないとか、過去3年以内に開発した製品の売上比率が50%を超えなければならないといった基準を設定し、しのぎを削っているのです。こうした競争社会では、わが社がいくら抜きん出た製品やサービスを持っていても、少し努力を怠れば他社が必ずそれらを凌駕する製品やサービスを開発し市場に問うてきます。それゆえ、益々新製品、新サービス開発の重要性が増しているのです。

R&D(研究・開発)の真の効用

しかし、R&D(リサーチ&デベロップメント=研究開発)活動というものは、人間の本来持っている好奇心、想像力を刺激します。それゆえ本質的に楽しいものです。ですから全員で取り組めば格好の組織活性化のツールとなり、うまくすれば社内が生き生きとしだし、やる気が充満するようになります。さらに人間は誰かの役に立っていることが実感できれば益々やる気が出ます。R&Dは市場のお客様の声を社内にフィード・バックし、それを製品・サービスとして具体化して再びお客様にフィード・バックしていきます。そこでお客様において成果が出れば、社員はやりがいを感じることでしょう。

従ってR&D活動は、広い範囲の社員を参加させ、主体的に取り組ませていくことで新奇・積極さを尊ぶ組織の文化・風土を醸成し、社員の創造力の開発に大いに成果を発揮するのです。R&D活動を通じ、社員はお客様のニーズに常日頃から敏感になり、ニーズに応えようとする熱意を持つようになるのです。

新製品開発の手法

ⅰ.営業の巻き込みの不可欠性
新製品開発はお客様のニーズに応えようとするわが社の活動努力です。それゆえ新製品の開発は顧客の立場から行なわなければなりません。そのためには普段からお客様の声をお聞きしている営業部門の主体的、主導的な係わり合いが絶対に不可欠です。これによってお客様の都合を無視した自己本位で役に立たない製品の開発を阻止することができるのです。

よく製造や研究部門のみによるR&D活動や、その結果作り手の論理で開発されたお客様の利便性を反映していない開発商品をみることがあります。これらは決して市場での成果を挙げていません。ですから必ずお客様から遊離しないように、営業がイニシアティヴを取って進めて下さい。
またそのためには、常日頃から営業を始め、すべての社員が情報の収集に心がけていくことが必要です。こうした情報は次に述べる新製品開発プロジェクト会議などで定期的に検討するようなしくみにしておくことが大切です。

ⅱ.新製品開発プロジェクト会議
このように新製品の開発は、たとえば高校生の頃の文化祭の準備のように皆でワイワイとアイデアを出しながら進めていく楽しい雰囲気でめていくものですから、社員を広く集めたプロジェクト会議や委員会などチーム方式で進めていくのが良いでしょう。また商品開発担当者を育成していくことも忘れてはなりません。
そこでは、まずお客様のニーズや世の中の方向性、技術の動向などわが社の外部世界の情報を広く収集することから始まります。従って情報収集型やアイデアマン系の社員を参加させ彼らに自由闊達にその持ち前の想像力を発揮させるように仕向けて行くのです。

アイデアの創出にはブレーンストーミングなどのアイデア創出の技法を使って行なうと効果的でしょう。ブレーンストーミングとは1938年にアメリカのアレックス・オズボーンによって考案されたアイデア創出技法で、次のようなルールを守ってあるテーマをめぐって自由奔放に意見やアイデアを出し合う会議のやり方です。

(ア)批判厳禁・・・どんな意見が出ても批判しない
(イ)自由奔放・・・とっぴな意見でも構わない
(ウ)量を求む・・・量の中から質の良いものが生まれる(出席者全員が発言)。
(エ)便乗発展・・・出たアイデアを結合し、改善発展
新製品の開発も、新規得意先の開発と同様に定量的な目標(例えば新製品の売上高比率等)やプロセス目標を定めプロジェクト・チームで情報を共有し、役割を分担して管理し実行の担保を行なっていくのです。  

ⅲ.外部者の参画
新製品開発はこのように情報収集とアイデアが不可欠です。もし社内にこのようなタイプの人材がいなければ、外部にその機能の補完者を求めなければなりません。それには製品開発の専門家はもとより、広告宣伝やクリエーターなどのマーケティング系の人、仕入先の顧客支援部隊や企画的な役割の人、特許の専門家である弁理士、会議のファシリテーターなどの人の参画を得て、プロジェクトの活性化を図ります。

ⅳ.外部とのコラボレーション
さらに進んで製品を具体化していくための設備、ノウハウが不足していれば、産学協同で大学の研究室と協働したり委託開発をお願いしたり、公的機関を利用したり、そして様々なコラボレーションを目的とした異業種交流の団体やあつまりがありますからこれらを活用して、開発を進めて行くことがとても効果的になります。
また、商品の具体的な市場導入に関しては、マーケット・リサーチやテスト・マーケティング、販売チャネル選択、パッケージ・デザインなど様々な専門的な業務が起こってきますから、こうした機能は外部と連携していくことが必要になるわけです。

ⅴ.知的財産権の保護
ドラッカーも語っている通り企業の中にあるものは知識だけである。しかし知識というものはしかるべき保護手段を講じておかないと防御できないものです。我々はもっと知的財産権というものを意識し理解して防御にかからなければなりません。そのためには自社の分野に強い弁理士と契約して協力を仰ぐことをお勧めします。弁理士の選定のポイントは次の通りです。

(ア)あなたがコミュニケートしやすいか。 (イ)能力が高いか(訴訟への関わりの実績を聞くなどして確かめると良い)。 (ウ)その弁理士が直接責任を持って仕事に関わってくれるか。

新商品の開発プロセス

ⅰ.開発プロセスの流れ
新製品開発のプロセスは概ね次の5段階で行なわれます。

【ステップ1】 大まかな開発の方向性の決定 【ステップ2】 商品開発計画書の作成 【ステップ3】 商品コンセプトの設定 【ステップ4】 具体的商品開発 【ステップ5】 市場導入の計画と実行

こうした開発の各ステップで、アイデアの発想・展開とその評価をきっちり行なっていきます。

ⅱ.【ステップ1】 大まかな開発の方向性の決定
開発の方向性を検討する場合には、なにより生活者(消費者)、ユーザーを取り巻く環境、わが社の販売構成の推移や強み・弱み、そして業界・市場の動向を分析します。その上で大まかに見えてきた開発の方向性をまとめていきます。まとめるにあたっては、対象となるターゲット層を明確にイメージできるように特定します。またその商品化にあたり必要な技術や流通の条件も明らかにしておきます。

ⅲ.【ステップ2】 商品開発計画書の作成
次に開発テーマのターゲット層のニーズをつかみ、そのニーズを実現するための自社のシーズ(能力や資源)を検討し応用展開が可能なように準備していきます。ニーズの把握にはグループ・インタビューといってターゲット層の方々に集まってもらい当方の仮説に従ったテーマについて意見を出しあって話し合ってもらいます。意見は注意深く記録したあと、プロジェクトのメンバーでKJ法などのアイデア発想法を使って開発テーマにまとめて行きます。

開発テーマに対してわが社の技術や設備など保有するシーズを検討します。そしてどのようにシーズを応用展開していけばよいのか、また不足するノウハウについてどのように研究開発し、導入していけばよいのかを確認しメンバーが分担して情報収集や探索、研究に入ります。
開発テーマが決まったら、マーケットの観察をして生活者ニーズを確認していきます。そうした確認はタウン・ウォッチング、売り場ウォッチング、アンケート調査などを通じて行なっていきます。

そして、これらの情報や調査研究の結果を商品開発計画書にまとめていきます。商品開発計画書では、開発テーマ、ターゲットの特性、想定市場・チャネル、使用される生活シーン、競合商品や企業、開発のプロセスをまとめ、妥当性や可能性を評価します。

ⅳ.【ステップ3】 商品コンセプトの設定
商品開発計画に基づき、具体的な新商品のアイデアを開発して行きます。アイデアとは、既存の情報や要素の新しい組み合わせでしかなく、発想力がないからとあきらめずグループで発想していきます。
アイデアは先ずターゲット顧客をとことん明確化した上で、その人たちの立場からニーズを検討し、問題解決を考えていきます。そのためには常識の逆を考え、そうではない状況からその問題点とそれを克服するアイデアを考えて行きます。これを逆設定法といいます。また次に製品の機能からブレーンストーミング法を使ってアイデアを展開しコンセプト具体化して行きます。

こうして出てきたコンセプトを下のようなコンセプト図(マインド・マッピング)にまとめ、これを売り場に持って行ってプレ商談を行ない反応を見ます。その結果反応の良かったものについて、スケッチ、商品特徴の説明、商品の持つ提案内容、従来品や競合品と比較しての優位性、商品のコンセプトなどをまとめた商品コンセプトシートを作成します。

ⅴ.【ステップ4】 具体的商品開発
いよいよ具体的な商品の開発に取り掛かります。商品開発はプロのインダストリアル・デザイナーなどにお願いしてデザインをして行くのが良いでしょう。デザインはコンセプト・デザイン→基本デザイン→実施デザイン→マークや色彩の計画という淳で進めて行き、それと平行して商品設計を進めて行きます。商品設計は、基本設計→試作・実験・評価→量産設計→量産準備と進めて行きます。

ⅵ.【ステップ5】 市場導入の計画と実行
そして遂に商品企画書を作成し市場に問うべきかどうかの評価と意思決定をしていきます。ここでは価格、チャネル、販売促進方法の検討と決定を行なっていきます。そして投資とリターンのシミュレーションを行ない収益性・投下資本の回収を検討し、開発スケデュールを詰めて、市場導入計画を作成していきます。
最終的に市場導入の意思決定を行なったならば、その計画・スケデュールに従い製品作り、販売促進を実行をして行くのです。

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今日のまとめ

商品開発は、最高の社内活性化のツール。変革と競争の現代では商品・サービスの寿命はどんどん短くなっており、会社を挙げて開発活動を行なうことが大切です。

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