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御堂筋note magazine

Vol. 13

穴熊社長になるな!

(1)わが社が存在している理由

わが社は一体何のために存在しているのでしょうか。わが社はお客様のために存在しているのです。お客様がああしてほしい、こういうことをしてくれるところがあればいいのになぁ、というニーズを満たすために存在しているのです。

P・ドラッカーはもっと過激(?)に、企業はお客様の役に立つことによってのみ、存在することが許されている存在であるに過ぎない、と言っています。そこから非常に単純ですが、最も重要な行動の原則が導かれます。それは、企業はお客様の要望に応えていかねばならないということです。そして、そのためにはお客様に会って、その願いを聞くのがもっとも適確であるということです。それではどのようにしていけばいいのでしょうか?これがこの章のテーマです。

(2)穴熊社長とは何か

皆さんは「穴熊社長」という言葉を聞いたことがありますか?
これは会社の中にばかりいて、お客様のところを訪問しない社長をいいます。この言葉は経営コンサルタントの一倉定先生が名づけられたものです。ちなみに一倉先生は、辣腕の経営コンサルタントです。その考え方は「一倉定の社長学」シリーズとして刊行されています。このシリーズは一冊10,000円近くする高価なものですが、内容は経営理論はドラッカー理論を基礎にし、販売戦略はランチェスター理論に基づいたしっかりした内容のもので、大変読みやすく役に立つ本です。機会があればぜひ一度手に取られることをお勧めします。

なぜ穴熊社長は問題なのでしょうか?それは、会社の中にばかりいてお客様を訪問しない社長は、外の世界・現実が分からないからです。現実が分からなければそれに対して有効な手を打てるわけがありません。一倉先生の本を読むと、そういう社長を無理やり手を引っ張ってお客様のところに連れて行き、お客様のご意見を聞かせるというエピソードがたくさん出てきます。そのようにして社長はようやくお客様の願いを知り、なぜわが社の製品が買っていただけないかを悟るというわけです。皆さんはいかがでしょうか?

(3)事業の機会も成果もすべて企業の外部にある

P・ドラッカーの本の中に「事業の機会も成果もすべて企業の外部にある。企業の内部にあるものはコストだけである・・・」という文章があります。これを読んだ時私は大きな衝撃を受け、目からうろこが落ちる思いがしました。正にそのとおりなのです。事業の機会も成果も、外部社会にありお客様が我々の努力を評価し、それを購入するかどうか決定するのです。その意思決定は我々が直接行なうことはできないのです。我々の内部にはないのです。我々の内部でできることは、ただひたすらお客様の願いに応えるために知恵と工夫を凝らして努力するということだけなのです。
それだけに、外部社会つまり市場、もっと言えばお客様の願いを的確に掴むということは、決定的に重要な問題になります。なぜならば、その理解が間違っていれば、それに応えようとする努力は100%間違いなく成果を生み出せないことになるからです。

市場・お客様の願いは、お客様自身が分かっていることもありますが、気づいていないこともまゝあります。製品やサービスが現れて初めて、自分が欲しかったものだと気づくことも多々あるのです。また、女子高校生の朝シャンブームを巻き起こしたシャンプー・ドレッサーのように、意図した用途とは違った使われ方でヒットすることもあるのです。ではどのようにすればお客様の願いを掴むことができるのでしょうか?先見性やアイデア力がなくても、先ずできることがあります。それは、自分の重要なお客様に尋ねることなのです。ところがこれが余りなされていないように思われます。ではなぜそんな簡単で率直なことが行なわれていないのでしょうか?

(4)何をすべきかは、お客様に素直に聞くのが一番

我々が何をすべきかについて考えるのには、お客様にお聞きするのが一番です。そしてそれは経営者が直接に聴かねばなりません。GEの前CEO(会長)のジャック・ウェルチは口をすっぱくして言っています、「現実を直視せよ!」と。一倉先生も販売は社長が統率するものだと言っています。問題も機会も全くもって現場にヒントがあります。あなたが経営者として問題意識が沸いていないとすれば、現場を見ていないからです。現場と分離しているのです。

お客様の願いは、最終ユーザーとの商売つまり小売業や飲食業などでは、来店者や購入履歴のある人へのアンケート調査によって捉えます。また産業財の製造販売やサービスなど事業者向けの事業では、ヘビーユーザーへの直接のヒアリング・インタビューやアンケート調査によって願いをお聞きします。

ⅰ アンケート調査

アンケートでは、お客様の本当の願いが引き出せるように、適確な質問を作ることが決定的に大切です。そのためにクローズエンド型とオープンエンド型の質問をうまく組み合わせることが重要です。
クローズエンド型の質問とは、YES・NO型や限定列挙された選択肢型の質問ですが、これは質問したいことに対する答えを得られ統計を取るにも便利ですが、質問者の考えの枠組みから質問が設定されるためその質問が的外れである場合回答者は答えに該当がなく回答に窮することにもなりかねません。

一方オープンエンド型の質問は、回答者の思いや感想を自由に聞きだす形の質問ですが、回答が面倒なため一方的にアンケートを送りつけ回答いただくような進め方ではユニークな回答を期待できません。また質問の順序も思考の流れをうまく誘導するためには大切で、皆で知恵を出し合って良く考えて作ってみて下さい。仕入先やお客様に相談に乗ってもらうのは効果的なアンケートを作る上で役に立つ方法です。

ⅱ ヒアリング、インタビュー

ヒアリングでも、事前にどんなことをお聞きするかを決め、ヒアリングシートを準備して臨みます。ヒアリングの細かい点は次の⑵でお話しますが、相手の願い、希望、考えていること、そのための課題、問題点、悩みなどをお聴きすることができれば素晴らしいでしょう。そのためには素直に聴くということが一番です。ヒアリングを体験すれば分かりますが、お客さまは概して誠実にお答えくださるものです。

お客様の願いを聴くことに躊躇する人もいます。そういう人はその意義がよく分かっていないか、本音を聴くのが怖い(なぜなら、日ごろちゃんとしていないと心の中で感じるものがあるから)からです。確かに怖いでしょう。しかし考えてみて下さい。あなたが目を塞ぎたがろうとなかろうと、お客様はそう思っているのです、その現実はあるのです。ただそれを教えていただくだけなのです。だから何も怖いことはないのです。

あなたが今までお客様をないがしろにしてきていたならば、始めに多くのお叱りを受けます。しかしそれは当たり前のことです。そのことで心が洗われ気持ちがすっきりするはずです。いわば滝に当たるようなものです。そしてお客様が本当のことを教えてくださるでしょう。それは大切なありがたみのこもった真心です。なぜなら、面と向かってその人に耳の痛い話をするのです。それはその人のためにという気持ちがなければ、言えるものではありません。皆さんも食事に行かれて、レストランや飲み屋の人に文句をいうことがあるでしょう。文句を言うのはいやなものです。それをして下さるというのです。

勘違いしてはならないのは、お客様は皆さんの製品やサービスを買うのではないということです。自分の問題を解決するために、欲求を満足させるためにお金を払うのです。ですから基本的にお客様が購入するものは、物体ではなく、心を満足させる何か(主として目に見えないもの)です。だから、文句というのは商品ではなく、サービスやその姿勢であることが多いのです。ここのところを良く認識して、サービスや我々の姿勢・心構えに関する願いをしっかりと受け止めなければならないのです。

そして、頂いた貴重な願い、ご意見に対して、それを実現するために真剣に改善に取り組むことをお約束するのです。お約束したならば、お客様はじっとその成り行きを見つめています。決して忘れることはありません。ですから今度は本気の取り組みが必要になるのです。

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今日のまとめ

企業はお客様によって生かされています。お客様の不満は親身である証です。私たちはその気持ちを素直に受け取りその改善に努めなければなりません。

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