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御堂筋note magazine

Vol. 2

経営者としてのバックボーン

会社とは、人間が2人以上集まって、ひとりではできない事業に取り組むための組織です。法隆寺昭和の大修理を指揮した棟梁、西岡常一は「木に学べ」(小学館ライブラリー:720円)のなかで「木の癖組は人の心組、工人の心組は工人への思いやり」と言っています。よく考えてみると、会社にあるものはただ人間だけなのです。機械も道具も書類もノウハウも、それを活かすのは人間だからです。機械が勝手にものを作り、売ってくれはしません。だから、経営者は常に、人間について勉強しなければなりません。社員を切り刻むためにではなく、強みを活かしていくために勉強するのです。人間に対する理解が深まれば深まるほど、経営者に深みが出、経営に深みが出てくるのです。

01. 人間の人柄や人格・性格が形作られる過程を理解する
(3つの自己)

人間の心は下図のように3層構造になっています。そのベースは人生に対する基本的信頼感です。この有無は父母、特に母親との関係で決まります。赤ちゃんのころ母親との豊かな交流関係があったかどうかなのです。このことが、人生と自分・他者に対する心構えを決定します。そして、その後の人生の体験が人間の環境に対する対処パターン、つまり、人柄を形成していきます。さらに、いちばん外側には、大人としての生きていくために身につけた常識や知識の硬い殻があるのです。
こうした過程を経て人柄は形作られますが、誰もが道徳性の完成に向けて順調に人生を歩むわけではなく、途中で成長が止まる人もいます。その分れ目は、仕事、家族、縁ある人達との交流、勉強を通じて自らの価値観をどれだけ高めることができるか、にあります。経営者はとりわけ依存性から脱却して自立性を身につけ、指導性を体得するまで、自分を高めていかなければなりません。なぜなら、経営者の人格がそのまま企業の人格を決定するからです。人間はひとに役立つために生きているとも言え、その姿勢を決定するのは帰属意識(その組織のために役立とうという気持ち)です。その帰属意識を甦らせることが重要なのです。

02. 自分を振り返り気づきを得る
(父母との関係洞察を通じた、自己の人格形成の洞察)

自分を振り返ることとは、自らの成育歴を振り返り、気づきを得て人のために役に立とうと願う帰属意識をよみがえらせるために行なうものです。生育歴を振り返るとは下図にある、自分と母、自分と父、父と母の3つの人間関係を振り返り洞察することから始めます。そこから父母の喜びと苦しみに気づき、「してくれなかった」恨みを「していただいた」感謝に変換することなのです。これを悲喜転換といいます。そして何にも換えがたい「生育の恩」を感受し、自らのアイデンティティ、生きる意味、使命感をよみがえらせることなのです。上記のⅰの基本的信頼感は変えにくいものですが、勉強によって、ⅲからⅱ、ⅰへと修復をし、影響を与えることができるのです。

03. 行動を変革する
(基準行動の習得)

人柄とは、その人が対人関係や生活において見られる行動のパターンです。その人の行動を通じての、他人から見た印象です。行動は変えることができます。行動を毎日続けるとやがて、その行動をせずにはいられないようになります。これを習慣といいます。それは、歯磨きのような習慣と同じものです。一旦身についた人柄を変えるためには、信頼に足ると人が感じる、よき行動を習慣化していかなければなりません。これを基準行動といい、次の4つがあります。

基準行動 目的
気づきとあいさつ 相手を認め、周囲と調和し人間関係を高める
早起きと認識即行動 時間効率を高め、行動力を身につける
約束と計画 組織人として決めごとを守り行動する
連絡・報告と後始末 責任者、関係者に配慮し、仕事をはたす

04. 他人とよき人間関係をつくる

このような自己変革を通じて、他人に信頼される自分を創っていくのですが、これは、経営者としてのトレーニングであり、人間性の終わりなき完成に向かう人生の本来のありようです。こうして、家庭で、地域で、職場で、自分が属する組織で貢献を果たし、リーダーとして役割を果たすことができるようになっていくのです。
リーダーとは部下に、その権威が認められて初めて成り立つものです。2代目だからといって自動的に権威が身につくのではありません。自ら築き上げるものです。リーダーの権威のみなもとはいくつかありますが、その手始めは自分が手本となる行動を示すということです。人は「いうこと」を信用するのではなく、「すること」を信用するのです。こうして、会社においては、自らが信じる価値観を社員と共有し、お客様や仕入先様、地域・社会などの関係者に信頼していただく組織を作っていくのです。相手の話を素直に聴き、その人の問題を自分の問題として、共に解決をめざすという立場で、仕事と人生に取り組んでいくのです。

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今日のまとめ

人間に対する理解が深まれば深まるほど、経営者に深みが出、経営に深みが出てくる。

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