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御堂筋note magazine

Vol. 8

わが社の歴史を振り返り、まとめる

わが社の発展の要因を把握することは、あなたが2代目として、これからの経営の方向性を考える上での出発点となります。そして父(や祖父)の創業者としての苦労を偲ぶこと、そして先達の理念、哲学を自分のものとしてしっかり身に付けることは、あなたが経営者として生きていこうと決断する場合の最低限の必要条件です。

昔から「温故知新(故(ふる)きを温(たず)ねて、新しきを知る)」といいますが、自分のルーツ、立って拠る地盤をしっかりと理解することは極めて大切です。それは今のあなたという人間が、なぜそのように形成されたのかを知る手がかりになります。その経緯が分かることによって、自分を客観化することができます。自分を客観化できれば、自分を客観視できます。人間は他人のことはよく分かります。そして他人のことはしっかり評価でき、その長所、短所もしっかり批判できるものです。しかし人は自分のことは仲々分かりにくいものです。自己を客観視できるということは、自分を他人のようにしっかり評価できるということです。それは自己の人間性の完成に向けての振り返りとなり、起爆剤となるのです。

同様のことは、あなたが引き継ぐ会社に対しても言えます。わが社の発展とそのための苦闘の歴史を客観的に捉えることで、わが社をしっかり理解することができます。そうして、わが社の長所を引き継ぎ、欠点を補正していくためのあなたの考えがまとまっていくはずです。ですから、しっかりとわが社の歴史を確認して行って下さい。

(1) わが社の経営史表を作成する

先ず行なっていただきたいことは、わが社の歴史年表を作ることです。そのためには2つの方法を使います。1つは過去の業績をまとめることです。これは過去の決算書をひもといて調べていきます。2つ目は、(先代)社長など会社の古いできごとをよく知っている人からのヒアリングです。その時々の重要なできごと、経営の分岐点、苦労したこと、大事にしてきたこと、成功の要因を聞き出していきます。

ⅰ. 過去の業績のまとめ
下記のようなグラフを用意し、創業から現在までの売上、利益、総資産、自己資本、人員など経営数値の推移を棒グラフや折れ線グラフなどを使って示していきます。そしてグラフの中に見える特徴や傾向を掴んでいきます。急激な成長、停滞や衰退などです。こうした異常点とその時期を頭に入れます。

ⅱ. 先代、先輩からのヒアリング
まず最初に、グラフを見て気づいた異常点について、そのときの事情、できごとやその原因について聞いていきます。このような機会は中々ないでしょうから、納得のいくまで聞いてみて下さい。相手は自分の歴史を語るのですから、あなたの熱心な姿勢次第で喜んで色々なことを教えて下さるはずです。聞くときは素直な気持ちで、相手の立場に立って、相手の気持ちになって聞いて下さい。たくさんの感動と気づきがあるはずです。

経営史表のグラフ

 

(2) 経営発展要因を特定し、先代の徳を心に刻み込む

このようにして、わが社が成長・発展してきた要因・理由を明確にしていきます。そしてわが社の強みをはっきりさせます。それをしっかりと認識することが、あなたが将来にわたって経営を行なっていく上での出発点となります。その歴史には、創業者・承継者・時々の幹部・社員の、決断・勇気・熱意・苦悩・喜び・悲しみ・成功・失敗や、仕入先・出資者・銀行などの好意・友情、また得意先の愛情・叱咤など、わが社と関係を持ち、深い関心を寄せてきた下さった人々のドラマが深く々々刻み込まれています。その方々の思いと、創業者や先達の苦労を偲び、そのおかげと恩を胸に刻み込み、社会そしてわが社に関係している人たちに対して責任を持ちつつ、自らがその徳を承継していこうと決意することが、ここでの重要な目的です。

(3) わが社の強み、課題を掴む

わが社の強みがはっきりすれば、それを紙に書きつけてまとめてください。その場合できるだけ多くの強み(長所)を書き出します。そう最低30位は書き出してください。5~6個位ならすぐに書けるかもしれませんが、30となると頭を相当悩ませないと出てこないでしょう。そのことが大事なのです。なぜなら、それだけのいいところを見つけ出そうとすると、今までは短所、制約条件と考えていたことが逆に長所ではないかと考え出す、発想の転換が起こる可能性があるからです。一般に自分の力では変えようがないことは、長所と捉えることが大事です。なぜなら、それは受け入れなければないことがらだからです。受け入れなければならないことがらを、欠点、いやなことと捕らえ続けていくことは健康的なことではありません。またこのことは、長所に目を向けるという経営者にとってとても大切な習慣を育(はぐく)みます。ぜひ一度トライしてみて下さい。次に今後補正していくべき弱みを考えていきます。そしてそうした強みと弱みを基に、今後の世の中の流れなどを意識しながら、最後にさらに伸ばしていくべきわが社の長所、克服すべき問題点といった取り組み課題を明確にしておくのです。

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今日のまとめ

社の歴史を振り返ることは事業の継承の原点。経営史表から創業者や諸先輩の業績や苦労を読み解き、わが社の強み、課題をつかみましょう。

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