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御堂筋タイムズ magazine

事業承継

時代を捉える承継計画

コロナ禍における事業承継の進め方

不況下における事業承継の進め方についてお話させていただきます。

 今年に入り新型コロナウイルスの感染拡大により、経営に深刻な打撃が与えられた企業様も多いのではないでしょうか。また、コロナウィルスの終息が未だ見えず、今後の経済活動にも大きな変化が起こっており、目先の事業活動に関する悩みも多く存在するのではないかと思います。実は、このような急激な経済環境の変化が起こっている時期こそ事業承継計画を策定するもしくは見直すことが重要になってきます。

 今回は不況下における事業承継の進め方についてお話させていただきます。

事業承継は経営権の承継と財産権の承継

 事業承継の一つが経営権の承継になります。中小企業オーナーの場合は、株主としての権利(議決権)と経営者としてマネジメントを進めるという二つの側面があります。また株式には財産権という側面もあり、中小企業の株式は現オーナーの相続の際に資金化できない多額の財産として相続税の納税、財産分与の問題で非常に頭を悩ませます。
 
 後継者への株式の継承は、現社長の退任により役員退職金を支給し株価を下げたタイミングで行うことが多いですが、このような不況下であれば株価を考慮に入れると、先に株式を後継者に継承し、そのあとで後継者へ経営を委譲していくというという方法も検討できます。  
経営においては、後継者が現社長とともに既存事業をどのように立て直すのか、また新たな事業をどのように構築するのかを経験する機会になります。

経済不況が自社株に与える影響

会社の業績が悪化している・不況で市場の株価が下落しているといった状況は、株価の視点で考えると保有している財産の価値が下がり、株価も低くなり後継者への株式承継をすすめやすい状況と言えます。

中小企業の株価の算定方法は、以下①と②をミックスした評価になります。

 ②の純資産価額については過去からの積み上げの利益によるため、なかなかコントロールすることは難しいのですが、①の類似業種比準価額は市場の株価とわが社の業績により大きく変動します。
 リーマンショック時とコロナウイルス感染拡大期における市場株価について見てみますと約7割8割程度にまで下落しています。業績が悪く不況による市場の株価の下落は株価視点で考えると保有している財産価値が下がり、株価も低くなる状況といえます。
 いままで後継者に株式を継承するにも株価が高く難しかった方もおられるかもしれませんが、このようなタイミングで一度検討されてはいかがでしょうか。

株式を継承させる場合の留意点

 現社長がマネジメントしながら後継者への株式の継承をすすめると、後継者が議決権を保有し安心して経営できないというデメリットもあります。議決権を50%超保有すると役員の解任権を得ることになり、万が一の時に後継者から現社長が解任される恐れもあります。
 そのような経営権確保の対策として、種類株式の発行や属人的株式により後継者へ継承する株式を、無議決権もしくは議決権を制限することも可能です。
ただし、このような株式にした場合には想定通りに株式の継承ができなくなった場合、問題が起こることもございますので設計する際にはご相談いただくことをお勧めします。

経済不況における後継者不足と事業継続の可否

 このようなコロナ禍で感染収束の見通しが立たない中、事業の計画を立てることが難しく後継者がいないため廃業を選択する方が多くなっていることも事実です。ただ、中小企業のさまざまな技術やノウハウを残していくため中小企業庁も昨今さまざまな施策を打ち出しています。

■『事業承継トライアル実証事業』

第三者への事業承継を検討する中小企業と、後継者として入社を検討する外部人材とをマッチングし、入社後の経営者教育をサポートする中小企業庁の事業です。

■『経営資源引継ぎ補助金』

新型コロナウイルス感染症等の影響で廃業が懸念される中小企業の経営資源の引継ぎを促進し、我が国経済の活性化を図るために、 経営資源引継ぎ補助金では事業再編・事業統合等に伴う経費の一部を補助するという制度です。

政府も中小企業の存続に関して力を入れているのは事実ですので、事前に事業承継の計画を立て後継者の育成やM&Aの活用なども検討されることをお勧めします。

事業承継におけるM&Aと戦略的M&A

 中小企業庁によると20年以上前には親族内承継が85%、親族外承継は15%でした。しかし、最近では親族内承継が35%、親族外承継が65%と、その割合が逆転しています。コロナ禍による経済・社会の変化によって経営が厳しくなり、経営責任が問われる事態になった場合に起こる「継がす不幸」を意識する経営者の方も増えています。また戦略的に今後の経済回復と人材確保、サプライチェーンの内製化という観点からこの経済状況をプラスととらえ、M&Aによる買収を検討する企業も増えております。

事業承継の課題を明確にしましょう!

事業承継を考えるにあたって株式の引継ぎ、経営権の委譲、後継者の問題や相続など何から手をつければいいのか、優先順位はどのようにすべきか判断が難しいかもしれません。今後の事業承継のプランニングについては、是非一度ご相談下さい。

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