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御堂筋タイムズ magazine

人事コンサルティング

働き方のニューノーマル時代へ

成果指標による論理的な評価とプロセスの支援。これからの働き方に即した人事制度改革とは。

“テレワーク”や“業務の見える化”、“ジョブ型”など取り上げながら、コロナ禍における人材管理手法について弊社の事例も交えながらお話しさせていただきます。

テレワークにおける
人材管理のベストプラクティスとは!?

新型コロナウィルスの影響によりテレワークが進む昨今、働き方の多様化によって人事制度の見直しや業務管理方法の見直しなど、変化の動きが見受けられます。

その中でも特に弊社へご相談いただくお声としては、「どうやってメンバーを評価すれば良いか」「遠隔地においてメンバーの業務をどのようにしてマネジメントすれば良いか」という点です。

ではここから、事例を交えて【評価】と【マネジメント】についてお話できればと思うのですが、先日、弊社の「業務内容の見える化」に関して、日本経済新聞に掲載いただきました。
 
 弊社では、15分ごとに業務日報を記録し、実施した業務の見える化と時間工数の見える化を図っております。テレワークについては元々推奨しておりましたが、この日報システムは1991年の創業当初から取り組んでいることであり、これまで同様、時間工数の見える化による業務分析と生産性向上施策の立案、実行はもちろん、コロナ禍でもスムーズなマネジメントが可能となっております。
 
 時間軸で自身の業務を見つめなおすことにより、さらに効率的な業務の進め方を研究したり、同僚の働きぶりを可視化することによって、自身の業務改善や刺激にも繋がっています。そして、マネジメントに関してですが、コロナ禍でのテレワークによってマネージャー⇔メンバー間でのコミュニケーション量が低下したとしても、常に日報を通じて業務の進捗度合いや目標に対する達成状況を把握することができるため、コミュニケーションの促進とメンバーのエンゲージメント※維持・向上にも繋がっています。
 
※「エンゲージメント」とは、 社員ひとりひとりが企業の掲げる「戦略・目標」を適切に判断し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲のこと、要は働き甲斐。

ただ、日報管理において重視すべきポイントは、「上司が部下の業務を管理するためのツール」「上司へ業務を報告するためのツール」にならないように注意することです。
目的はあくまで見える化による業務分析、業務効率化、適切なコミュニケーションの運用であり、管理・報告のための日報にならないよう、その目的と手段をメンバー全員が把握し、自身で運用して考え、行動することが重要となります。
 
【マネジメント】に関しては、そうしたオープンな風土の醸成と、コミュニケーションの促進がポイントとなります。
 
次に【評価】に関してです。
ここで、冒頭に提示させて頂いたAさんとBさんの事例を思い出して下さい。
この事例に関して、皆さんはどちらを評価しますか?もちろん、評価の仕方は会社によって様々ですし、良い悪いもありません。
コロナ禍における働き方改革がもたらした評価に対する考え方の変化…それは、「主観的・精神的な評価」から「論理的評価」が求められているという点にあります。

等級制度の変化と種類

まずは、これまでの等級制度※の変化とその種類についてお話できればと思います。

日本では、江戸時代の頃から徒弟制度が一般化しており、師匠-弟子の関係で店主や棟梁が給料を払わない代わりに、生活に必要な物資を与えながら一人前に育てるという人材育成の制度が成り立っていました。その名残もあって、一括採用で終身雇用の中で育成していくというモデルが確立していましたが、時代の変化とともにビジネスモデルも変化を余儀なくされ、変貌を遂げてまいりました。

 

※「等級制度」とは、能力・職務・役割などによって従業員を区分し、序列をつける制度です。 評価制度や給与、人材育成などにも関係するため、人事制度の根幹とも言える。

 

そして今、このコロナ禍におけるニューノーマル時代を迎えたことで、急速な働き方の変化が人事制度にも影響を及ぼしており、変革が急務となっております。ここで現在、主に運用されている等級制度を、比較してみてみましょう。

上のメンバーシップ型と呼ばれる職能等級制度は、最も導入率が高い制度であり、終身雇用である日本型経営においてこれまで運用されてきたモデルです。

一方、ジョブ型と呼ばれる職務等級制度は、欧米企業によくみられるモデルで、仕事に対し値付けがされているような仕組みです。職務記述書によって職務内容が明確に定義されておりますので、採用においては、会社は必要なタイミングで必要な人材を確実に採用できる反面、解雇も可能であるため、人材が流動化しやすくなります。

真ん中のミッション型は、メンバーシップ型とジョブ型要素をミックスさせたモデルです。

近年では、ハイブリッド型と呼ばれるモデルも注目されており、これら3つの型を等級によって区別して設計し、事業戦略に対応しやすいモデルを確立するなど、パターン化されたものの運用ではなく、その企業オリジナルの制度を設計することが重要視されています。

主観的・精神的な評価から論理的な評価への移行

冒頭に提示させていただいたAさんとBさんにおいて、どう評価するか。
 
等級制度の在り方によって評価方法は十人十色ですが、Withコロナ、Afterコロナの世界においては人との接触が最低限になることが予想されるため、「目の届かない場所での業務における成果をどう評価するか」が重要になってきます。
となると、“遅くまで残っている”、“嫌な顔せず親身に対応している”といった主観的な感情で評価するのではなく、「どれだけ出来たか」というデータを基にした定量的な指標による論理的な評価が求められるでしょう。
 
 これらの内容より、生産性という視点が加わってくることは容易に予想ができますが、定量的な内容を評価するにあたって最も重要なことは、「業務の見える化」です。
成果を評価する上で、業務を見える化することで、一定期間内に何をどれだけ出来たが明確になり、適切な評価の運用が可能となります。
この観点から「ジョブ型の要素」は、コロナ渦においては有力な要素であり、社員のエンゲージメントを意識したマネジメントと納得性のある論理的な評価が可能となります。
 
ただ、等級制度を設計しなおしたからといって、スムーズにニューノーマル時代に対応できる訳ではなく、「成果とは何かの再定義=目的変数(良し悪しを判断する指標)の設定」も重要です。
正しい成果指標によって成果や貢献度を公平に評価するとともに、マネジメントにおいてもその成果指標を念頭に細分可されたプロセスに対し、目標達成に向けて何をどれだけ実施する必要があるのか、そのマイルストーンを追って支援することも重要です。
経営戦略や経営計画からブレイクダウンした成果指標の設定や、目標による管理(MBO)といったことも、コロナ禍における人材マネジメントのキーワードになってくるのではないでしょうか。
 
 われわれ組織デザイン研究所では、働き方のニューノーマルに対応した人事制度改革をお手伝いさせていただいております。人事コンサルタント6名が在籍しており、随時ご相談を承っておりますので、お困りの際は、是非お声がけください。また、「ジョブ型」の人事制度の興味関心がおありの方は、「ハイブリッド型人事の設計と“見える化”による人材マネジメント手法」に是非ご参加ください。日本企業においてジョブ型の人事制度をうまく導入するための方法をお伝えさせていただきます。

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