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御堂筋タイムズ magazine

人事コンサルティング

エンゲージメントと向き合う

エンゲージメントと正面から向き合うことで、企業と社員を次のステージに導く!

経営者の「不安」と対峙するために、昨今注目を集める「エンゲージメント」について解説いたします。

・働き方改革の一環で在宅勤務を取り入れたものの、社員が仕事に集中しているのかが分からない
・社長自らが従業員にハッパをかけているが、なかなか個々人の主体性が認められない
・近ごろ予想外の離職が続いており、人繰りに困っている
・定期的に会社のビジョン・目指すべき方向性を伝えているが、社員の心の底まで響いていないように感じる
・社員が「働きがい」を持って働いてくれているのか自信がない
・1on1の機会は作ってみたが、果たして効果が出ているのか分からない

早速ですが、上記のような「不安」をお持ちではないでしょうか?
ほとんどの読者の皆さまにとって、いくつか心当たりがあるのではないでしょうか。事実これらのお悩みは全てクライアントさまから弊社が実際にご相談いただいている内容です。ご自身の心の中にあるこのような「不安」に対して、気づかないふりをしていることはないでしょうか?
 
今回は、読者の皆さまの「不安」と対峙するために、昨今注目を集めるエンゲージメントについて、ご説明致します。

エンゲージメントとはなにか?

読者の皆さまの中には、エンゲージメントという言葉を耳にされたことがある方も多いかもしれません。エンゲージメントとは、社員一人ひとりが企業の掲げる「戦略・目標」を適切に理解し、「自発的に」自分の力を発揮する貢献意欲です。要するに『働きがい』を意味します。注意していただきたいのは、会社が与えるものである「従業員満足度」や個人が感じる「モチベーション」とは違い、エンゲージメントは、会社と個人が双方向で繋がる状態を表す指標です。近年では経営指標としてエンゲージメントを導入している企業も多くなってきており、その重要性はますます注目されています。

では、なぜ企業はエンゲージメントを重視するのでしょうか?
 
実は、エンゲージメントは企業業績との相関が科学的に証明されており、同時に、離職やトラブルの防止にも効果が認められているのです。エンゲージメントが高まると企業全体の士気が高まり、結果として全体のパフォーマンスが向上するという良い循環が生まれます。

それでは、エンゲージメントについての理解を深めるために、もう一歩踏み込んで解説してみたいと思います。
 
エンゲージメントを紐解くと、仕事と個人の結びつきである「ワーク・エンゲージメント」と組織と個人の結びつきである「組織コミットメント」に分けられ、さらに全部で9つの要素に分解できます。エンゲージメントを改善したいと考えた場合、まずは、その一つひとつの要素を指標化することから始まります。例えば、【自己成長】に問題が認められた場合は、部下の成長機会や上司からのフィードバックをきちんと得られているかどうかを、【組織風土】に問題が認められた場合は、部署間での協力や挑戦する文化が根付いているかどうかなど、項目ごとに洗い出すことが必要です。

なぜ今エンゲージメントが必要とされているのか

もともと、人事領域におけるエンゲージメントという概念はアメリカで生まれました。従来多くの企業が「従業員満足度」に重点を置いていましたが、給与や福利厚生を改善し、「従業員満足度」を向上させたとしても、必ずしも生産性に繋がらないことに気づき始めます。そして、エンゲージメントが脚光を浴びるようになりました。
2000年以降、エンゲージメントの考え方は日本企業にも広がり始め、少しずつ浸透してきましたが、終身雇用の文化が色濃く残る日本では、企業への忠誠心を美徳とし、入社した会社に一生勤め上げる風土であったために、浸透には時間がかかったのかもしれません。確かに終身雇用や年功序列型で育ってきた経営者、管理職の方々にとってみれば、「滅私奉公せよ」の一言で片づけたくなる問題です。しかし、果たして今、社員の皆さまを企業への忠誠心で繋ぎとめることができるのでしょうか?個人の価値観が多様化し、組織と個人の関係が縦の繋がりから横の繋がりへと変化している現代社会の中で、企業・管理職側もエンゲージメントを高める努力を行う必要があることに多くの企業が気づき始めています。

自社のエンゲージメントを知ることは、痛みを伴うこと

「社員の皆さまは働きがいを持っていますか?」この問いに胸を張ってYESを言える経営者の方はどれくらいいるでしょうか。「社員のエンゲージメントは昨年と比べて改善していますか?そしてそれはどんな要素によって変化しましたか?」この問いであればどうでしょうか?
これまで皆さまの心にしまっていた「不安」と向き合うことは、時に痛みを伴います。知らなかったことを目の当たりにして、ショックを受けることもあるかもしれません。しかし、大切な会社と社員を次のステージに導くためにも、今こそエンゲージメントと正面から向き合う必要があるのではないでしょうか?

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