1. ホーム
  2. 御堂筋タイムズ

御堂筋タイムズ magazine

税務・会計

ニューノーマル時代の経理・財務のかたち

紙・ハンコ文化の残る日本企業 ペーパーレス化は待ったなし!

「ニューノーマル時代での働き方」へのシフト、その中でいまだに紙・ハンコ文化が長く続いている経理・財務業務の変革についてお話しさせていただきます。

新型コロナウイルスによる世界的な緊急事態宣言により、ビジネスにおいても新しい働き方が問われています。
アフターコロナでの働き方=ニューノーマル時代での働き方」とは、どのような形にしていけばいいのか?今回は、特に日本企業でいまだに紙・ハンコ文化が多く続いている、経理・財務業務についてみていきます。
また、紙業務を単にITを使ってシステム化する、ことがゴールではありません。システム化することで、余計な手間やミスがなくなり、日々の作業に追われていた状態から抜け出すことができます。そこで初めて、本来の経理担当者が担うべき役割が見えてきます。その辺りも触れていきます。

注目されるテレワーク、だけど経理のテレワークはできない?

「テレワーク」は「tele(離れた所)」と「work(働く)」を合わせた造語で、普段働いているオフィスの外で場所に縛られずに働くことを指します。 
例えば、自宅を就業場所にする「在宅勤務」、移動中の新幹線や、移動の合間のカフェ・顧客先で仕事をする「モバイルワーク」、会社が用意したサテライトオフィスやレンタルオフィスを就業場所とした「サテライトオフィス勤務」などがあります。いずれも、通勤にかかる時間負荷の削減や移動時間の有効活用、大規模災害時のBCP対策といったメリットがあります。

テレワークでは仕事のアウトプットとなる成果物を明確に定義する必要があり、そうしなければテレワークはできません。従業員はプロセスではなく成果物で評価されることになります。 また当然に管理職がオフィスにいる全員を常に見ている、という状態がなくなり マネジメントも根本的に変容します。その点からは経理財務部門の仕事は、作業タスクとその成果物が明確化し易く、テレワークには最も相性の良い部門と言えます。しかし、実際のテレワーク実施状況はどうでしょうか?
下図は、今回の新型コロナウイルスによる経理財務業務への影響調査の結果です。実質的にテレワークを実施できている割合は、半分にも達していません。テレワークが浸透しない理由としては、下記の声が挙がっています。

✔テレワークを実施または推奨した約70%のうち、
 「テレワーク実施中に出社する必要が発生した」という回答は 41%
 
✔出社理由は「紙の書類の処理(請求書・証憑書類・押印手続・印刷)」
                「会議への参加」「打合せ」「銀行対応」
 
✔テレワークを実施できていない企業の理由で最も多いのが
 「請求書や証憑などの紙の書類がデジタル化できていない」(77%)
 
✔テレワークを実施している企業でも紙の書類のデジタル化に対応できている企業は 36%

安全に、素早く、便利に!

経理財務業務は、「直接紙を目視で確認、押印するから安心なんだ ! 」と思われている方も多いと思います。
しかし、システム化するからこそ、この「安全性」「スピード化」「利便性」をより享受できるようになります。
まず安全性については、電子帳簿保存法もどんどん整備が進み、一定の条件を満たしたものであれば、電子の領収書や契約書は、紙と同等の法的根拠資料として利用できます。また、保管においても、高いセキュリティが保たれたクラウド上に、暗号化された状態で分散保管されることで、BCP対策も兼ねて、万全の状態にできます。かつ、電子的にアクセス権などで制御をかけることもできるため、人による改ざんや紛失のリスクも防ぐことができます。
次にスピード化については、紙に比べて圧倒的に素早く作成することができます。顧客情報の記入から、明細情報の記入、納品書と請求書との突合、など、紙で実施する場合に時間がかかるステップも、システム化すれば簡単な手順で、数分で完了します。

例として、下記図は契約書締結フローにおける、紙契約書と電子契約書の比較になります。紙の場合は、郵送手続きが入るため、物理的なものの移動が発生し、非常に時間がかかることになります。セキュリティが担保された安全なサービスを利用すれば、システム化することによる効率化は、一目瞭然です。
利便性については、まず請求書の発送コストを大幅に削減できます。電子請求書の場合は、ワンクリックでメール送信すれば完了です。これまでの「印刷」「封入・封函」「投函」といった、諸々の発送コストが不要になります。また、多くの請求書クラウドサービスは、請求状況や入金状況のステータスを一覧画面で管理できるので、請求漏れ・回収漏れがないかを直感的に把握できます。社内共有も簡単に行うことができるため、営業担当同士で見積書を共有したり、経理担当が作成した請求書を経営者がチェックしたりする、といった活用方法も考えられます。

経理担当者は単なる事務屋ではない!

皆さまは、経理という仕事をどのように考えられているでしょうか?経理の仕事の内容イコール「お金を管理すること」と思われているでしょうか?もちろん、会社のお金をきっちり正確に管理すること、も重要な役割の一つです。しかし、経理の役割はそれだけではありません。組織の目標達成のために、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を有効活用できるよう、経営の意思決定を助けること、も重要な役割です。
会社のお金の流れを全体的に把握できるのが、経理になります。社外の利害関係者に業績を把握してもらうための、「財務会計資料」を作成することも重要ですが、それだけでは足りません。経営判断に役立つ情報を提供することこそが、経理担当者に求められる非常に重要な役割といえます。管理会計は、英語ではManagement Accountingといいます。管理会計は、まさにマネジメントするための会計であり、経営に役立つために導入されるしくみです。では、実際にどんな経営資料を作ればいいでしょうか?経営資源をどのような形で数値化して、どういったポイントでチェックするのか、経営者視点も必要になってきます。弊社では、そんな一歩進んだ経理担当者を目指す人向けに、弊社のノウハウを詰め込んだセミナーを開催しています。単なる事務屋さんではない、経営者の意思決定を助けるパートナーとしての経理担当者を、本セミナーを通して育成されてはいかがでしょうか?

最近の記事