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御堂筋タイムズ magazine

事業承継

意思を繋ぐ資産承継

現状を知り、未来に備える対策で 「100年承継」を円満に。

“争”ならないために、“相”談を!
「100年承継」を実現させる資産承継法

~ウィズコロナ時代。資産承継にも万全の備えをしておきませんか?~

あなたに万が一のことが起きたら...家族や会社はどうなるの?

自分に万が一のことが起きたら...なんて考えたことはありませんか。資産の承継先を決めずに相続を迎えてしまった場合の相続トラブルは、年々増加傾向にあります。例えば、会社のオーナーである方の場合、株式の承継先を事前に決めておかなければ、相続発生後は、相続人での“準共有”状態となります。準共有状態となると1株1株を法定相続分での共有となるので、最悪の場合本来の後継者である方が議決権行使できないといったトラブルが発生するかもしれません。もちろん株式だけではありませんので、ご自宅や預金だったり、遺産をめぐったトラブルは多岐にわたります。自分の大切な家族・会社を守るためには、ご自身の財産をどの相続人に承継させるかしっかりと意思表示することが非常に大切です。

万が一のための3つの対策

今回は、私たちが否が応にも直面させられることとなった「ウィズコロナ時代」に、いつ突然やってくるかわからない万が一の事態に備え、トラブルを減らすために効果的な対策を3点ご紹介いたします。

①遺言書

まず、代表的な相続対策は遺言書を作成し、遺産の承継先等をしっかりと定めておくことです。遺言書の種類で一般的な2つを紹介していきます。

自筆証書遺言 
 遺言者がご自身で内容を記載する方法です。こちらの方法は、自由に作成でき、費用もかからないため、法律上の要件が厳しくなっています。遺言者が遺言書の全文と、日付・氏名を自署し、これに押印しなければなりません。なお、現在は民法改正により財産目録についてはは自筆によらずパソコン等での作成が可能となりました。そのため以前よりは非常に作成しやすくなっています。
 自筆証書遺言は、遺言者が亡くなった後、その遺言書を発見した方は、家庭裁判所の検認を受ける必要がありますが、2020年7月10日からは自筆証書遺言を法務局において保管する制度が始まります。こちらを利用すると上記の検認が不要となりますので、ぜひ活用していただきたいと思います。 
 
公正証書遺言 
 遺言者が公証人に対して、遺言内容を伝え、その内容をもとにして公証人が作成する方法です。こちらの方法は、費用は掛かりますが、公証人の立会いの下で作成するため、法律上の信頼性が非常に高くなります。(認知症かどうかも公証人が判断します)
 ただし、いずれの方式で遺言書を作成していたとしても、特定の相続人のみに遺産を承継させる内容や、相続人以外の方に遺産を承継させる内容は、遺留分を侵害し、訴訟にまで発展するような争族トラブルを発生させることにつながりますので注意が必要です。 

②生前贈与

次に、意思能力がなくなる前に、財産を承継させたい相手に贈与する方法も効果があります。

生前贈与の方法
 贈与契約は、贈与者と受贈者が合意することによって契約が成立します。民法上は口頭契約でも有効ではありますが、将来の相続税の申告とその後の税務調査のことを考えると、贈与者の意思表示を客観的に立証できる贈与契約書は必ず作成するようにして下さい。また、税務上の贈与をきちんと成立させるために、契約書の作成と財産の引渡し(不動産の場合は登記手続き、株式の場合は名義書換手続き等)を同時に行う必要があります。
 
生前贈与の注意点
 贈与を受けた人(受贈者)毎に、受贈財産の合計額が年間110万円を超えた場合、その超過額に応じた累進税率により贈与税が課せられます。土地や自社株など評価額が高い財産を贈与したい場合は相続時精算課税制度がよいのか、他の方法はないか、検討が必要です。 また、長男だけに贈与するなど、特定の相続人等に対して多額の贈与をしてしまい、相続が起きた時に遺産が極端に少なくなってしまっているような場合には、遺言の場合と同様に遺留分侵害となり、やはり争族トラブルにつながってしまう可能性がありますので注意が必要です。
 遺留分についてトラブルが起きた場合、以前は遺留分減殺請求権でその生前贈与をした財産自体が共有となってしまい事実上生前贈与が無効になってしまったのですが、民法改正により生前贈与をした財産とは無関係に侵害額分の金銭の支払を請求する権利(遺留分侵害額請求権)となりました。
 これによって、元気な内に、自分の意思で確実に、特定の財産(事業用の土地や、自社株など)の承継帰属先を確定させることができ、遺留分を侵害したとしても金銭の支払いで問題が解決するため、非常に効果的な方法となっています。 

③民事信託を活用する方法

最後に、遺言の代用として民事信託を活用する方法を紹介します。

そもそも民事信託とは?
 民事信託とは、財産の所有者(委託者)が、ご自身の信頼できる方(受託者)にその財産の管理・処分を任せ、その財産から得た収益を特定の方(受益者)に配分することができる制度です。
 
民事信託のメリット
 不動産の場合、大規模修繕や売却をする際に法律行為ができること(意思能力がある=認知症でないこと)が条件となりますが、民事信託の契約をしていれば、委託者が認知症になったとしても受託者の判断で上記行為をすることができます。株式の議決権行使も同様です。株式の場合は少し特殊で、自益権(株主として配当を受ける権利等)と他益権(株主総会での議決権や会社の管理運営に参加する権利等)に分解することができ、自益権は自分、他益権は次期後継者、と細かく設定することが可能です。また、信託の契約は自由に幅広く設定することが可能なため、受益者や受託者等に相続が発生した場合に、次の受益者や受託者等を指定しておくことができますので、遺言書の代用として活用することができます。遺言書と異なる点としては、さらにその次の受益者等も指定しておくことが可能です。(受益者連続型)
 
民事信託のデメリット
 信託契約書を作成する際に細心の注意を要するため、専門家への報酬が発生します。また、理論上は全ての財産について信託設定をすることが可能ですが、実務的には信託設定することができない財産もあります。また税務上も注意すべき点があります。委託者と受益者が異なる信託契約を設定してしまうと、その時点で、委託者から受益者に対してその財産が贈与されたとみなされ、受益者に対して贈与税が課せられてしまう可能性がありますので信託契約を設定するときは、課税関係についても考慮し、有利不利を判断した上で作成する必要があります。

まず何から始めたら良いか?

上記では、財産を特定の渡したい方に確実に承継させるための方法を紹介しましたが、これらを実行する際には、相続税の対策も併せて考えておく必要があります。 
 財産の分け方一つでも相続税額は大きく変わります。相続人毎の納税資金は足りているか?ご自宅を最も有利に承継させる方法は何か?いくらずつ贈与するのが最も有利になるの...?こうしたことは家庭ごとに全て異なってきますので、なかなか一般的な回答で間に合うようなものではありません。 
 その答えを知るためには、まずはご自身の財産が現状どういう構成でどのくらいあるのか、相続税がいくら発生するのかを知ることが非常に大切であり、そこがスタートラインです。

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