1. ホーム
  2. 御堂筋タイムズ

御堂筋タイムズ magazine

税務・会計

新たな1年、新たな変革

平成31年度税制改正大綱 速報

平成30年12月14日に、
与党から「平成31年度税制改正大綱」が発表されました。

今回はその改正内容について、ポイントとなる箇所をお話しさせていただきます。

Ⅰ.法人課税

■イノベーション促進のための研究開発税制の見直し

一定のベンチャー企業につき、控除税額の上限を現行25%から40%に引き上げ(総額型)。
オープンイノベーション型は控除税額の上限を現行5%から10%に引き上げ。
(適用時期:2019.4.1以後開始事業年度から)

 

■事業継続力強化設備投資促進税制の創設

中小企業の防災・減災設備(自家発電、制震・免震装置等)への投資に対して、
特別償却(20%)の制度を創設。
(適用時期:中小企業等経営強化法の改正法施工の日から2021.3.31までに取得・事業供用)

■中小企業者の設備投資に関する税制措置の延長

中小企業投資促進税制、商業・サービス業・農林水産業活性化税制・中小企業経営強化税制について
一定の見直しを加え、適用期限を2年延長。
 
(適用時期:2021.3.31までの事業供用資産)

■その他

①中小企業等の法人税の軽減税率の特例の適用期限の延長
 中小法人の年所得800万円以下の部分について軽減税率15%
(本則19%)(適用期限:2021.3.31までに開始する事業年度)
 
②みなし大企業の範囲についての見直し(みなし大企業の判定となる大規模法人に次の法人を加える)
 イ.大法人の100%子法人
 ロ.100%グループ内の複数の大法人に発行済株式
   又は出資の全部を保有されている法人(適用時期未定)
 
③法人税法における仮想通貨の評価方法等について
 活発な市場が存在する仮想通貨については時価法を導入する
(適用時期:2019.4.1以後終了する事業年度)

Ⅱ.個人課税

■住宅ローン控除が最長13年間可能に。
⇒11年目から13年目までは下記のいずれか少ない金額を控除。
 
①住宅借入金年末残高
(4,000万円(5,000万円※)を限度)×1%
 
②住宅の税抜き取得額
(4,000万円(5,000万円※)を限度)×2%÷3
 
※認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の場合。
(適用時期:2019.10.1~2020.12.31まで 消費税率10%で住宅取得・居住)
 
■空き家に係る譲渡所得の特別控除の拡充・延長 
⇒被相続人が老人ホーム等に入所していた場合も一定の要件の下で適用可。
(適用時期:2019.4.1~2023.12.31までの譲渡)
 
■NISAの利便性向上等
⇒転勤等一時的な出国の場合も継続利用可。(適用時期未定)
 
■ストックオプション税制の拡充 
⇒適用対象者に特定事業者(一定の社外協力者・高度専門人材)を追加。(適用時期未定)
 
■ふるさと納税制度の見直し 
⇒返礼品が地場産品かつ返礼割合3割以下の基準に適合した都道府県等を総務大臣指定。
 指定のない都道府県等は控除対象外に。 (適用時期:2019.6.1以後支出寄付金)
 
■子育て支援関係
⇒一定の未婚のひとり親(現に婚姻をしていない者等で前年合計所得135万円以下等)の個人住民税非課税措置。

 

Ⅲ.資産課税

■非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の要件緩和
⇒一定のやむを得ない事情により認定承継会社等が資産保有型会社・資産運用型会社に
 該当しても、その日から6月以内に該当しなくなったときは、納税猶予取消されない。
 
■個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設(相続・贈与)
⇒事業用資産(土地(400㎡まで)、建物(800㎡まで)、
 減価償却資産(青色申告貸借対照表に計上されているもの))につき、
 一定要件の下全額を納税猶予(非上場株式の納税猶予に準じる制度)
 (適用時期:20191.1~2028.12.31まで)
 
■特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例の見直し
⇒相続開始前3年以内に事業の用に供された 宅地等を対象から除外。
 但し当該宅地等の上で事業の用に供されている減価償却資産の価額が、
 当該宅地等の相続時の価額の15%以上である場合を除く。
 (適用時期:2019.4.1以後の相続・遺贈(2019.3.31以前からの事業用土地は適用外))
 
■教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置の見直し
⇒受贈者の前年所得1,000万円超を対象外等の要件を追加し、2年延長 (適用時期:2021.4.1まで)

Ⅳ.民法改正に対応する改正

成年年齢引き下げに伴う各種年齢要件の見直し

■配偶者居住権の相続税評価方法を新設
①配偶者居住権:
 建物の時価-建物の時価×(残存耐用年数-存続年数)
 /残存耐用年数 ×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率
 
②配偶者居住権が設定された建物(居住建物)の所有権:
 建物の時価-配偶者居住権の価額
 
③配偶者居住権に基づく居住建物の敷地の利用に関する権利:
 土地等の時価-土地等の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率
 
④居住建物の敷地の所有権等:
 土地等の時価-敷地の利用に関する権利の価額
 
⑤その他配偶者居住権に関する取扱い
 ⅰ.物納劣後財産の範囲に居住建物及びその敷地を加える。 
 ⅱ.登録免許税:配偶者居住権の設定登記につき、居住建物価額(固定資産税 評価額)×0.2%
(適用時期未定(2020.4.1以後開始相続?))
 
■特別寄与料に関する税務上の取扱い
 特別寄与者が、当該特別寄与料の額に相当する金額を被相続人から遺贈により取得したものとみなして、
相続税を課税。(適用時期未定(2019.7.1以後開始相続?))

最近の記事