御堂筋note

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御堂筋note

Vol.
19

2代目の心得(経営者になるための心構え)

計画経営の確立(1)

(1)経営計画を作る本当の意義

経営計画は、会社の将来のビジョンを実現させる設計図だといえます。はたして日頃どれくらい真剣に会社の将来像を考える時間を経営者は持っているでしょうか。ものごとははじめに目的や方向性が正しくなければ決して正しい答は出てきません。経営計画は旅行の計画にたとえられます。今北海道旅行を計画しているA君とB君がいるとします。A君は綿密に旅行計画を立てたとします。B君は行き当たりばったり出で旅行に出るとします。さてどちらが有意義な旅ができたでしょうか?答えは明らかですね、A君は必要な見所を残さず楽しみ、時間も効率的だったことでしょう。B君はひょっとすると全然ちがう方角に行ってしまった可能性さえあります。経営でもおなじです。

つまり、経営計画を作るということは、会社のめざすところを社長自らが決定することなのです。その過程で、社長は「やらなければならない」という使命感を強くし、行動するための心のドライブ(駆動力)を得ます。そして幹部や社員の意思統一をはかり、ベクトルを合わせていくのです。経営計画ができたら、プラン→ドウ→チェック→アクションという管理サイクルを回し、日々の行動に落とし込んでいきます。そして、自分と社員に対して経営計画を拠り所に確実に実行を迫り、目標の実現を目指して行くのです。このプロセスで対話によって内容と気づきを共有し、全員で学んで成長していく組織体(学習組織=ラーニング・オーガニゼーション)をめざしていくのです。ですから経営計画の意義とは次のようにまとめられます。

経営計画の意義

  • 1.将来のビジョン設計図
  • 2.社長が本気になるためのツール
  • 3.社長、幹部、社員の意思統一のためのツール
  • 4.日常活動のよりどころ
  • 5.ラーニング・オーガニゼーションを実現するためのツール

世の中には、経営計画など無用だという人もいます。その理由は、どうせ世の中の状況はすぐに変わってしまい、計画の前提などすぐにくずれてしまうから、計画など立ててもしかたがないというものです。しかし私は経験からそれはちがうと思っています。経営計画は自分たちの事業の方向性に対する仮説なのです。そして仮説を立てて、それを実行することで検証していくことが大切なのです。それによってズレが生じれば軌道修正していけばよいのです。もし経営計画がなければ、そのようなズレの認識すらできなかったはずです。このことが重要なのです。このような検証のくりかえしをしているかいないかでは、長い間に圧倒的な経営力の差をもたらすのです。

ドラッカーも、戦略計画ということばを使って、その必要性を訴えています。
彼は戦略計画とは将来を予測することではなく、不確実な将来に向けて、今何をすることなのかを決めることだ、今の考え方や行動の中に、どんな未来になるかの考え方を織り込んでいることだといっています。まさにそのとおりだと思うのです。

計画経営とは何か

第2巻でもご紹介した宮本先生は、『5サイクル経営』ということばを使って、経営計画の重要性を強調しておられます。下の図は5サイクルの概念です。5サイクル経営とは、ビジョンがあって、それを基にして戦略を組み立て、そこから作成された計画に基づき、日常業務が遂行され管理されている経営のあり方をいうのです。これこそがあるべき経営の姿であるとおっしゃっています。私もそのとおりだと思っています。そして私はこうした経営のあり方を『計画経営』と呼び、皆さんにそうした経営の実践を訴えているのです。

5サイクル経営の概念

さて、経営のあり方にも発展の段階、よしあしのランクがあります。次の図はそのような経営のちがいを示しています。それによれば、最低の経営とは、日常の業務に忙殺されていて計画も管理も何もないいきあたりばったりの経営状態をいうのです。それに対して極上の経営とは上で述べた『5サイクル経営』がおこなわれている状態です。皆さんも極上の経営を目指していただきたいものです。そのために必要なものの考え方とツールをいっしょに考えて行きたいと思います。

計画経営の発展段階

中期経営計画の策定方法と内容

経営のビジョンと戦略は、中期経営計画によってまとめます。中期経営計画とはふつう3~5年の期間のものをいいます。私の場合は3年の計画を使っています。というのは5年になると相当不確実性が増して、内容がぼんやりとしてくるからです。その点3年ですと、将来像といってもかなり具体的なものをイメージできるからです。

中期経営計画は一度作れば、3年間はそのままでいいのかという質問を受けることがよくありますが、実は中期経営計画は毎年作ります。毎年、昨年度の実行状況を振り返り、その結果と状況の変化に基づいて、あらためて今後3年間の計画を作るのです。状況に大きな変化がなければ、マイナー・チェンジで済みますし、大きな変化があれば、根本的に見直します。こうした経営計画の作成のしかたを『ローリング方式』と呼んでいます。次の図はそうしたローリング方式による経営計画の作成と運用のしかたのイメージを図にしたものです。

ローリング方式での中期経営計画の作成のしかた

中期経営計画の策定手順と内容

ⅰ.中期経営計画の策定手順

中期経営計画の策定手順は、次の図のとおりです。

中期経営計画の策定手順

1. 経営ビジョンの策定
事業は創業者の願い、思いから出発します。経営理念はそれを具体化したものであり、いわば経営の出発点であり、経営上もっとも大切にすべきものです。(松下幸之助氏の『実践経営哲学』など参照)

2. あるべき姿の設定
経営理念が実現した状態を企業目標としてイメージしてみます。それを言葉として表わしてみるのです。

3. 外部事業環境分析
企業は環境に適応して生き延びて行かなければなりません。そのためには環境がどのように変化して行くかについて自分なりの仮説を立てなければなりません。世の中の流れ、市場動向などのマクロ環境、ライバルの動向などの競争環境について、わが社の機会(O)と脅威(T)の観点から考えていき、重要な要因を抽出します。

4. 内部経営資源分析
2. を念頭において、現状のわが社のヒト、モノ、カネ、情報、システムなど、経営資源の強み(S)・弱み(W)を、評価していきます。そして、重要な要因を抽出するのです。

5. 目標と現状のギャップの認識と測定
2を実現するための必要条件と、3、4を比べてみます。このギャップを解消しようとする方法が経営戦略となるのです。

6. 経営戦略の策定
3と4を基に、環境をめぐる機会と脅威、経営資源の強みと弱みから、SWOT分析という手法で骨格となる経営戦略を組み立てます。そして具体的な経営戦略を次の3つの切り口から行動計画として策定していくのです。

(ア)商品/市場ポートフォリオ
わが社の戦略ドメイン(生存領域)をどう設定し、そしてどのような商品分野、市場分野で事業の展開を図っていくか検討します。商品・市場を切り口として細分化して考え、競合他社と継続的に差別化できるように、具体的なターゲットの絞込み、訴求点の内容などを、戦略として策定していくのです。

(イ)業務活動分野
研究開発、原材料調達、生産、マーケティング、販売、アフター・サービスにいたる仕事の流れのなかで、なにを担当し、なにを武器に差別化を図っていくのかの戦略を策定していきます。

(ウ)経営資源ポートフォリオ
(ア)、(イ)の戦略実現のための事業活動に必要なヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源をどのように配分していくのかを決定していくのです。

ⅱ.中期経営計画の内容

具体的な中期経営計画の内容の例として、下の表を見てください。ケースによって若干の差はありますが、おおむね次のような、マーケティング、業務活動分野の選択や方向性、経営の重要課題への取り組み方、組織や人事、情報化などの事業の骨格となるしくみについての方向性などをまとめたものが内容となります。
いちばん下に、中期経営計画の年度別取り組み課題という部分がありますが、この部分がとても重要です。というのは、この1年目の取り組み内容がその年の年度経営計画における課題となるからです。

【中期経営計画の内容例】

項      目   内    容
1 経営理念 経営理念やISOの品質方針など
2 中期経営戦略
  1)基本戦略 基本戦略の概要
  2)外部環境の認識 事業環境の機会と脅威の特定
  3)わが社の強みと弱み 経営5機能による内部分析
  4)SWOT分析による戦略の絞り込み 策定のプロセス記述
3 マーケティング戦略
  1)製品・サービス戦略の内容 製品群別の差別化特徴や戦略
  2)市場戦略の内容 市場別の攻略戦略
  3)マーケティング計画 販売促進などの戦略
  4)商品・市場別売上マトリックス 現在と3年後の商品・市場別売上
4 利益計画と主要経営指標
  1)利益計画とキャッシュ・フロー計画 3ヶ年の予想PLとキャッシュ・フロー
  2)資金構造改善計画と予想貸借対照表 貸借対照表の構造改善方針
  3)主要経営指標 業績を測定するための指標と数値
5 組織及びコミュニケーション・システムの編制
  1)組織編制 現在と3年後の組織の編制
  2)コミュニケーション・システム 社内の会議の体系
6 主要業務計画と能力開発計画 経営幹部のキャリア開発の方向性
7 業務プロセスの改革と生産性の向上 仕入、生産、出荷物流などの改革
8 業績管理システムと人事制度
  1)基本的方向性 組織と個人の統合を目指す方向性
  2)人事制度改革の方向性 人事制度の具体的な改革内容
9 情報化計画 業務効率化、顧客創造への取組み
10 中期経営計画の年度別取り組み内容 3ヶ年にわたる年度別取組み内容

※この中の1年目の内容が年度計画となります。

今日のまとめ

経営計画は会社の将来像を描き、実現するために今なすべきことを決めるものです。どのような会社でも必要なものであり、社員を巻き込んで作ることが望まれます。

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