□必須勉強項目その10〜自分を高め、良い習慣を身につけよ!
○経営者には、明確な果たすべき役割があります。いくら毎日を忙しく過ご
していても、やるべきことをせず、つぼをはずしているとすれば、経営者
としての役割は果たせていないことになります。それでは経営をしている
とはいえません。ただ雑用をしているだけで、周りの人にとっては迷惑な
ことです。経営者として何が本来業務であるかをしっかりと認識し、日々
の業務に優先順位をつけて行動をする習慣を身につけて下さい。そのため
のいくつかの考え方をいっしょに見ていきましょう。
□宮本先生のいう経営者の本務
○私が教えていただいた会計士コンサルタントの草分けでいらっしゃる宮本
嘉興(よしおき)先生は経営者の役割について、次のことを本務として挙
げておられます。
○経営者の本務
1.業務分野を決める(未来の業務分野を含む)
→新しい商品、サービス、事業の方向性決める
3.経営目標の策定や経営計画の策定
→人・もの・金の計画、経営改善の方向性決定
具体的な年度計画の策定と実行度チェック
6.後継者及び後継者補完層の育成
→経営権と経営能力の継承
○特に重要なのが1の事業領域の設定と後継者育成の2つです。もし社長が
これら以外の仕事に時間をとられていれば、それは雑務であって、雑務に
時間をさかれるほど企業の発展の望みはないといえると、述べておられま
す。
□ミンツバーグ教授による経営者の10の役割
○戦略論などで著名なカナダの経営学者であるヘンリー・ミンツバーグは、
「マネージャーの仕事」という本で、経営者の調査観察を通じて経営者の
仕事を体系化しています。そこでは、経営者の仕事は、大きな3つの仕事
と、10の少し細かく分類された仕事に分けられており、情報の収集と流
通、その結果必然的になされるべき意思決定という観点から見事に体系化
されています。
○対人関係の役割
経営者は組織を公式に預かる人だから、権限と肩書きにより特別の職位が
生まれる。
儀式代表者→公式行事で組織を代表する
リーダー→部下との関係でリーダーとなる
外部接触→外部の人たちと交流し、情報と好意を得る
○情報伝達の役割
対人関係の役割から、経営者は良質な情報を入手できる立場である。その
結果経営者は組織情報の神経中枢となる。
モニター→さまざまな内部情報をキャッチし、統制し、自分の組織を詳細
に把握する
周知伝達役→さまざまな情報を組織に伝達する
スポークスマン→組織の情報を外部に伝達する
○意思決定の役割
情報中枢と特別な地位権限のよって、経営者は意思決定の中心になる。
企業家→変革を起こす
障害処理者→組織が脅威にさらされるときに障害処理をする
資源配分者→人・もの・かね等の経営資源を重点配分する
交渉者→組織の利益のために交渉役となる
○さて以上のことからいえる大事なことは、
経営者は外部との接触を大事にしなければならないということです。それ
は常に必要な質と量の情報に接触しておくということが、企業の意思決定
にとって致命的に大事であるからです。
○次に経営者はその外部の情報を企業の内部に伝え、また内部の情報を外部
に伝える連結環になるということがあります。このようにして、ともすれ
ば孤立しがちな企業(内部)を外部としっかりつなぎ止め、情報音痴にさ
せないようにするのです。
○そして最後に正しい情報を持つがゆえに、意思決定を行なうということが
あります。
○この3つの役割をあなたが全うしているかどうか、常に自らに問いかける
ことが必要です。
□ドラッカーの述べる「経営者の条件」
○私がもっとも尊敬する経営学者のピーター・ドラッカーも「経営者の条件」
の中で、経営者の役割と心構えについて細かく述べています。ドラッカー
は、経営者は、なすべきことを成し遂げるということが期待されていると
いっています。
○経営者は、その地位と持っている知識のゆえに、正しい行動を決定する責
任があるのです。しかし、経営者を取り巻く状況は、コントロール困難な
4つの現実が存在しているため、むずかしくなっています。
○その現実とは、
1.経営者の時間はどんどん他人から侵食される(電話や相談の殺到など)
2.自分で積極的な行動を取らない限り、日常業務に忙殺される
3.経営者は社員の心を動かしていかなければ成果が出ない
4.経営者は会社の中にいるために、外部で何が起こっているか肌で感じ
にくい
○そのため、経営者は特別な注意を払って行動する習慣を身に付けないと、
成果がでにくいのです。
○そこで、ドラッカーは効果的な経営者足りえるために、身につけなければ
ならない習慣として、次の5つを挙げています。
1.自分の時間を管理する
経営者の時間は、放っておくと他人からの依頼や要請によって食い散
らかされてしまう時間です。そこで自分の時間を重要なことがらに、
優先的に使えるようにしていかなければなりません。そのためには、
先ず自分の時間投下の事実を把握し、その中から時間の浪費を見つけ、
そして本来の課題にじっくりと取り組むためのまとまった時間を生み
出していくように工夫努力をしていかなければならないのです。
2.自分に期待されている成果に焦点を当てた行動を取る
経営者は、自分の仕事から目を上げて、組織の目標を見つめ、会社の
業績や成果を大きく向上させるために、私が貢献できることは何かを
焦点を合わせなければなりません。そのように意識を変えていくこと
で、部下との関係や、会議・報告の意味合いが違ってくるのです。
3.部下の強みを活かすこと
経営者は部下や仕事に関係するあらゆる人たちの強みをよりどころに
ししなければなりません。決して弱みを問題にしてはならないのです。
4.仕事の優先順位の決定と最優先事項への専心
経営者は仕事の重要性を基に優先順位を決め、その優先順位に従って
行動をするように自らを強制していきます。そして、優先順位の高い
ものを先ず完全に実施してから次のものに着手するのです。そうでな
ければなにごとも達成されません。
5.効果的な意思決定
経営者は、意思決定の必要を数少ない重要なものに絞り込んでいくた
めに、意思決定を、その原則を確立しておくことで一般化でき、それ
ゆえ自動化できるものと、本当に例外的で戦略的なものとに分けるた
めの見極めをし、自動化の範囲を拡げていくために問題の本質を洞察
しておかなければなりません。
○ドラッカーは意思決定のプロセスとして次の5つの原則を述べています。
1.問題というものは一般的なものであり、一定の原則を打ち立てること
を通してのみ解決されうるということを、はっきりと認識する。
2.回答が満たさなければならない<限界要件>をはっきりとさせる。
3.要件を完全に満たす「正しい」解決策は何かということを考え抜く。
(最初から妥協を前提にしたものを考えない)
4.決定自体の中に、決定を実施に移すための方策を組み入れておく。
5.決定が妥当で有効であったかをチェックするためのフィードバックを
組み込んでおく。
○この中で特に2つのことをお話ししておきます。ひとつは、4の決定の実
行です。決定は、実施に移すために誰かの仕事として割り当てられ、責任
がもたされるまでは、決定はなされていないのと同じであると書かれてい
ます。実行の担保が経営の実際においてはもっとも難しいのです。その工
夫や具体的方法については別に詳しくお話します。
○2つ目は5のフィードバックについてですが、フィードバックというのは
結局他人の報告に基づくのではなく、自分の目で確かめることでなされる
ことが適切であるということがいえます。つまり現場主義に徹しなければ
ダメなのです。かなりむずかしい話ですね。
□長くなりました。もう少しお話したいことがありますので、続きは来週にし
態と思います。ではまた来週!
(次回に続く)
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