□必須勉強項目その8〜トップ・セールスができるようになれ!
○『販売なくして事業なし』私が尊敬する経営コンサルタント、故一倉定先生の
社長学の冒頭に出てくる言葉です。この本に出会ったのは、もう20年も前の
ことですが、最近つくづくと「その通りだなぁ」と思うのです。
○一倉先生は、会社の中にばかりいてお得意先を訪問しない社長を『穴熊社長』
と名づけておられますが、けだし名言だと思うのです。お客様の声も聞かず、
目をつぶって、自分勝手な妄想でものを作り、売る、そんなあてずっぽうで
ものが売れるだろうと経営するなんて、何ともおめでたいことだと言わざるを
えません。
○今のような、知識社会、高度情報社会、競争社会の中で、お客様からわが社の
製品・サービスを選択していただく、そのためには大げさにいえば、不眠不休
の努力が必要でしょう。実際、ハイレベルな戦いが繰り広げられているのでは
ないですか?
○中小企業では何といっても、トップ・セールスが営業力の中心です。ですから
トップに営業力がなければなりません。後継者はトップ・セールスできるだけ
の力を身につけなければならないでしょう。そのためには先ほどの『販売なく
して事業なし」という精神をきっちり理解し、マーケティングの大切さを心に
刻みこみ、それを飽きることなく実験し続けることが不可欠ですね。
□マーケティングとは何か?
○マーケティングとはそもそも何でしょう?それは、『売り込まなくても、勝手
に売れるしくみを作ること』です。そのためには、
1.マーケティングについての正しい考え方を学び、
2.その具体的な方法を考え、
3.仮説と検証によって繰り返し取り組みをしていくこと
が必要です。そうすることでわが社なりの方法論ができていくでしょう。
○マーケティングについての正しい考え方は、お客さまはお客様の都合でものを
買っているというのだという真実を、素直に受け入れることで築かれます。
○マーケティングについてのいくつかの大事な考え方を挙げておきましょう。
1.お客様はお客様の都合でものを買ってくださる。
2.お客様はわが社の商品を買うのではない、お客様のニーズを満たす手段と
して買うのである。
3.お客様のニーズやそれに対応するためにわが社のすべきことを知るには、
お客様に聴くのが最もよい手段である。
□ある会社での顧客アンケートの結果が示していることは何か?
○奈良県のS材木店でお客さまアンケートを実施したことがあります。お客様の
工務店さんは材木店にどんなサービスをしてほしいかと要望を取ったところ、
材木店は配送やら受注支援やら色んなことを予想したのですが、工務店の願い
は圧倒的に、商品の情報をたくさんほしいということでした。これは仕入先だ
から考えれば当たり前のことですが、しかしお客さんに言われてみなければ、
気づくことがむずかしいことであったかもしれません。この結果から見る限り、
材木店は「お客様の購買代理人たれ」ということになります。
□トップ・セールス力を身につけるために必要なこと
○そこで、トップセールスができるようになるためには、お客様のニーズをしっ
かり理解した上で、自社の製品とお客様の仕事に必要な知識について、圧倒的
なスキルを身につけることが効果的となります。その上で人柄を磨けていれば
お客さまからの信頼が得られるようになるでしょう。
○ですから、トップ・セールス力をつけるために必要なことは
1.お客様の立場に立ったニーズの理解
2.自社の製品についての知識
3.お客様の仕事についての知識
4.人柄を磨く
の4つということになります。
○お客様の立場に立ったニーズの理解
自分が何をすべきかは、お客様に素直に聞くのが一番の良策です。ですから、
お客さんに「聴きまわる経営」が大事です。そしてそれは経営者が直接に聴か
ねばなりません。GEの前CEO(会長)のジャック・ウェルチは、口をすっ
ぱくして言っています、「現実を直視せよ!」と。コンサルタントの一倉先生
も販売は社長が統率するものだと言っています。問題も機会も現場にヒントが
あります。後継者が経営者として問題意識が沸いていないとすれば、現場を見
ていないからです。現場と分離しているのです。とにかく、どんどんお客様の
ところに足を運ぶことです。
□お客様の願いは、アンケート調査やヒアリングによってお聴きします。
○アンケート調査
アンケートでは、お客様の本当の願いが引き出せるように、的を射た質問を作
ることが決定的に大切です。そのためにクローズエンド型とオープンエンド型
の質問をうまく組み合わせることが重要です。
○クローズエンド型の質問とは、YES・NO型や限定列挙された選択肢型の質
問です。これは質問したいことに対する答えを得られ統計を取るにも便利です
が、質問者の考えの枠組みから質問が設定されるためその質問が的外れである
場合、回答者は答えに該当がなく回答に窮することにもなりかねません。
○一方オープンエンド型の質問は、回答者の思いや感想を自由に聞きだす形の質
問ですが、回答が面倒なため一方的にアンケートを送りつけ回答いただくよう
な進め方ではユニークな回答を期待できません。また質問の順序も思考の流れ
をうまく誘導するためには大切で、皆で知恵を出し合って良く考えて作ってみ
て下さい。
○また、回答は、大満足、満足、やや満足、やや不満、不満、といったように、
普通という項目をなくします。普通を作ると、そこに集中するからです。大体
お客様は、取引関係も考え遠慮して回答されますから、回答はワンランク下に
考えます。してみると、大満足以外は、あまり満足ではないということになり
ます。このあたり、注意が必要です。
○率直にお答えいただくには、それなりの工夫が必要ですが、総じて人間は意見
を求められるのが大好きです。それは自己重要感が満たされるからです。です
から、どんどんアンケートを通じて教えてもらいましょう。
○といっても、顧客アンケートを実施される方は少数です。理由は、結果を見た
くない、聞きたくないからです。もちろんその気持ちはよく分かります。でも
考えてみてください。アンケート結果を見ても見なくても、お客様がそう思っ
ていらっしゃる事実には変わりないのではないですか?むしろ、思っておられ
ることを理解し、そのニーズを実現し、不満を解消することで、信頼関係が生
まれていくのではないでしょうか?
○顧客満足度調査は、決算書の次に重要な情報です。必ず調べるようにしてくだ
さい。必ずあなたに大きな成果を残します。
□お客様ヒアリング
○ヒアリングでも、事前にどんなことをお聞きするかを決め、ヒアリングシート
を準備して臨みます。ヒアリングによって、お客様の願い、希望、考えている
こと、そのための課題、問題点、悩みなどをお聴きすることができれば素晴ら
しいでしょう。
○そのためには素直に聴くということが一番です。ヒアリングを体験すれば分か
りますが、お客さまというものは誠実にお答えくださるものです。
○お客様の願いを聴くことに躊躇する人もいます。それは自然なことです。そう
いう人はその意義がよく分かっていないといえます。
○今までお客様をないがしろにしてきていたならば、始めに多くのお叱りを受け
ます。しかしそれは当たり前のことです。そのことで心が洗われ気持ちがすっ
きりするはずです。いわば滝に当たるようなものです。そしてお客様が本当の
ことを教えてくださるでしょう。それは大切なありがたみのこもった真心です。
なぜなら、面と向かってその人に耳の痛い話をするのです。それはその人のた
めにという気持ちがなければ、言えるものではありません。
○皆さんも食事に行かれて、レストランや飲み屋の人に文句をいうことがあるで
しょう。文句を言うのはいやなものです。それをして下さるというのです。あ
りがたいことです。
○勘違いしてはならないのは、お客様は皆さんの製品やサービスを買うのではな
いということです。自分の問題を解決するために、欲求を満足させるために、
お金を払うのです。ですから基本的にお客様が購入するものは、物体ではなく、
心を満足させる何か(主として目に見えないもの)です。だから、文句という
のは商品ではなく、サービスやその姿勢であることが多いのです。ここのとこ
ろを良く認識して、サービスや我々の姿勢・心構えに関する願いをしっかりと
受け止めなければならないのです。そして、頂いた貴重な願いやご意見に対し
て、それを実現するために真剣に改善に取り組むことをお約束するのです。
○お約束したならば、お客様はじっとその成り行きを見つめています。決して忘
れることはありません。ですから今度は本気の取り組みが必要になるのです。
□自社の製品についての知識
○さきほどもお話したように、例えば材木店のの基本的な使命は、「工務店の仕
入係」として、よい家が建てられるように、よい材料、よい商品を調べ、揃え、
紹介していくことです。
○このようなわけですから、自社の扱う製品について詳しい商品知識を持つこと
は、トップ・セールス力の第一歩です。そのためには自社の商品、についての
見識ある知識を持つことです。情報を収集するしくみを作ることです。
○その具体的な方法としては、次のようなものがあります。
1.自分で厳しい要求のあるお客様を担当して問題解決に努める。
2.読書、インターネットによる情報検索、外部の研修、メーカーでの定期的
な情報収集
3.社内での毎月の定期的な商品勉強会の実施
□お客様の仕事に関する知識
○お客様の仕事に対する深い知識も、説得力の源です。自分の仕事、その問題点
についての原因や解決手段についてよく知っているセールスマンに会えば、あ
なたもグラッと来るのではありませんか?何しろ自分の問題を解決してくれる
人と付き合っていたいと思うのが人間です。
○ではお客様の仕事に関する知識を身につけるにはどうすればよいのでしょうか?
もっともよい方法は、お客様の内部に入り込んで実際にしごとを担当すること
です。材木店の例でいえば、例えば施工を請け負い、実際に現場の施工管理を
してみることです。このようにしてお客様の業務についてのノウハウを身につ
けていくことができるでしょう。この場合にもっとも大事なことは、どうすれ
ば仕事を効率化できるかを常に考えていくことです。
□人柄を磨く
○最後にというか、知識の前に人柄を磨くことが大事です。このことはすでにお
話しました。商品の知識やお客様の仕事の知識の前に、人はこの人は付き合う
価値のある人かどうかを見極めるものです。
○だから人柄を磨くことはトップ・セールス力の前提となるわけです。
□長くなりました。次回は、付き合う人、ブレーンについてのお話をしましょう。
上に立つ人は、意見をもらう人、情報を集める人に、気をつけなければなりませ
ん。どんな人がいいのか?いっしょに考えてみましょう。ではまた来週!
(次回に続く)
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